水の怖さを知って早めの行動を -西日本豪雨から2年-

2020年7月13日放送

 

ポイント
① 最近よく聞く「記録的短時間大雨情報」愛媛では100ミリ以上の猛烈な雨 どんな雨?
② 河川の氾濫 水にはものすごい勢いがあり“鉄の扉も捻じ曲げるほど”
③ 自分の災害リスクを事前に把握して事前に避難するようにしましょう

 

動画で見る(字幕付き)

 

他人事じゃない!記録的な大雨

青木 ここ数年は、全国的に大きな水害が発生していて、今年は、九州を中心に甚大な被害が出ていますね。

白石 愛媛県内でも今月に入り断続的に大雨が降り続いていて、いつ災害が起きてもおかしくない状況となっています。
そこで、きょうは、「水の怖さ」についてお伝えします。

まずは、こちらのワード。
「記録的短時間大雨情報」

ここ数年でよく耳にする言葉になりましたが、これは数年に1度の大雨が短時間に降ったときに気象庁から出されるものです

青木 どのくらいの量を記録的な雨と言うのですか?

白石 愛媛県では、レーダーの解析によって“猛烈な雨”と表現される1時間に100ミリ以上の雨が降ったときに出されます。
この100ミリの雨がどの程度のものか取材しました。

 

■愛媛大学防災情報研究センター 森脇亮センター長
「(100ミリの雨とは)もう恐怖を感じるレベルで周りの音も聞こえないですし、周りも水煙で周りが見えないようなとんでもない猛烈な雨です」

恐怖を感じるレベルということで、命を守る行動が求められます。

森脇センター長 「記録的短時間大雨情報が出るようになったら災害が起きるんだということを前提に命を守る行動を取って頂く必要があります」

 

青木 命を守る行動が必要なんですね。

白石 はい。この情報が出た時は、災害につながる可能性が高い状況なんです。
このため、森脇センター長は、気象台や自治体からの情報を元に早めの避難を呼びかけています。

プールとはわけが違う!河川氾濫の恐ろしさ

さらに、大雨によって河川が氾濫した場合の危険性についても見てみます。

これは、2年前の西日本豪雨で被災した大洲市の様子です。
肱川が氾濫し、道路にあふれた水の中を移動している方もいますが、実は、命に関わる大変危険な行為なんです。

全長103キロにわたる肱川。
西日本豪雨では2つのダムの緊急放流によって下流で河川が氾濫しました。
道路には川の水があふれ、その中を移動する住民の姿が多く見られました。

森脇センター長 「ここは道路だと思っていたところが例えば側溝だったり、流れがあるようなところでは膝下であっても足がすくわれてしまったり転倒したらそのまま流されていってしまいますので本当に危険な行為だと思いますから決してそういったことはしないでいただきたい」

氾濫した水はとてつもない勢いで襲ってきます。

2年前…。
野村町のシンボル“乙亥会館”も肱川の氾濫によって変わり果てた姿となりました。

女性 「あ~あれなことですね。すごいな…水は…
もう壊れてしもて、あっこから入ったんじゃな。すごいですね…
こういうことになっとること自体を想像してなかったんですごいですね水の力は、怖いです」

さらに…

富本さん 「これがですな」
記者「これはもう激しさを物語ってますね」
富本さん 「10センチはありますけどこれを完全にですね」
記者 「うぁすごい…」
記者 「その瞬間というのはこれは閉まっていたわけですね水がこれ押し流したという」

めくれ上がった分厚い鉄の扉が水の威力を物語っています。
乙亥会館の前館長、富本武夫さんです。被災した当時を振り返ります。

富本さん 「ここのね一番上の椅子に足を降ろしてそこの状態で身長、私より高いぐらいなんです。ここまで水が来てた
本人ももうダメじゃと 思ったと言ってましたからね」

水に流されたスタッフを富本さんが発見し、2階席から引き揚げようとしました。

富本さん 「これはですね重たいし、そしてまた片手でしょ?(スタッフが)肩を打っとるいうんでもうとても水の中に浸かったやつは1人では無理」

富本さんの知らせを受けた消防団員らと5人がかりでようやく救助に成功しました。
その後、水位はさらに上昇しましたが富本さんらは間一髪で避難しました。

富本さん 「これは怖いですね この水の勢い普通のプールで入って泳ぐとかではなくこの勢い これは何もできませんなあんだけの水が放流されてきたらそれより先に逃げとかんとひとたまりもない」

身を持って“水の怖さ”を思い知った富本さん。早めの避難の大切さを訴えます。

富本さん 「よく聞いた言葉は”想定外”。想定外のことが起きたらいかんので事前に(避難)するとかそれが一つの教訓として今は早め早めにやってもらいよりますけれども」

 

命を落とさないために、大切なことは-

青木 今年の豪雨でも熊本県などで河川が氾濫し、何百トンという水が押し寄せて来たわけですから家屋などが流されてから避難しても遅いということがよく分かりました。

白石 そうなんです。
こうした河川の氾濫以外でも低い土地や地下室、アンダーパスといったところは浸水しやすい場所のため注意が必要です。

大雨による災害で、私たちが命を落とさないために森脇センター長は、「危ないタイミングで危ない場所にいてはいけない」ということに尽きると話します。

災害が発生する前に土砂災害が起こりやすい場所や浸水の予測地域をハザードマップで確認すること。

さらに気象台が出す気象情報や自治体の避難情報を参考に避難を始めるタイミングを見極めることが重要です。

県内では、まだまだ、雨の予報が続き土砂災害などの危険性もあります。
「自分の命は自分で守る」という意識を持って生活して下さい。

青木 どのような危険があるのかを学び事前に準備をすることで守れる命があるんですね。

 


 

この情報は2020年7月13日現在のものです。