新型コロナ時代の災害避難 -あなたは3密を避けながらどう逃げる?-

2020年5月28日放送

新型コロナウイルスの感染リスクに気を配らなければならない中、災害時、3密を避けながらどのように避難するのか考えます。

ポイント
① 愛媛県が呼び掛ける「迅速避難」と「分散避難」
② 避難所では3密回避の方法を各自治体が準備。
③ 何より大切なのは事前の準備!感染リスクを下げるために今できることは?

動画で見る(字幕付き)

 

「災害はいつ起こってもおかしくない」だから今考える

白石 きょうは新型コロナ時代の災害避難に注目します。
まずはこちらをご覧ください。
これ今年新しくなった松山市の一級河川石手川のハザードマップです。

青木 広い!こんなところまで浸水する想定なんですか!?

白石 そうなんです。1000年に1度の大雨では高浜地区や久枝地区あたりまでこんなに広い範囲で浸水が想定されています。

そして画面下の方にある坊っちゃんスタジアムではどのくらい浸水すると想定されているかというとチケット売り場のある2階まで水が到達するとされているのです。
さらにその坊っちゃんスタジアムの近くの水位観測所で過去に観測された水位のランキングです。

2017年には戦後最大水位。
西日本豪雨のあった2018年には2回入っています。
ここ最近雨の降り方も変わって水位も高くなっているのが分かります。

青木 いつ災害が起こってもおかしくないからこそ、今から準備しておきたいですが、今年は新型コロナウイルスの感染リスクという難しい要素が加わりましたね。

白石 災害時に多くの人が集まる「避難所」は、まさに3密になりやすい場所です。

青木 確かにそうですが、西日本豪雨のような災害の時には避難所に行くことが必要ですよね。

 

新型コロナ時代の災害避難「迅速避難」と「分散避難」

白石 そこで愛媛県が今年呼び掛けているのが…「迅速避難」と「分散避難」です。まず、「迅速避難」です。

土砂災害や浸水、地震による家屋の倒壊など命に危険が及ぶおそれのある災害では、まずはその危険から躊躇することなく逃げることが大切です。

青木 まずは目の前の危険から自分の命を守る行動が必要ですよね

白石 はい、県は「新型コロナウイルス感染を恐れて避難しないことを選択しない」よう呼び掛けています。
続いて「分散避難」です。

ここに3つの例を出しましたが…
避難所ではない避難先を選ぶことなどで3密を回避する方法です。

青木 避難所に逃げるだけが避難ではないということですね。

白石 その通りです。まず、自宅での垂直避難。
ただこれは、浸水や土砂災害のおそれがなく頑丈な自宅に限ります。
逃げ遅れにならないよう事前に自宅の災害リスクをハザードマップなどで調べておきましょう。

次に災害リスクの低い場所にある親戚や友人の家に避難をする。
そして最後は国などが勧めているホテルや宿泊施設に逃げる、です。

災害リスクの低い宿泊施設に逃げることも有効とされていて
宇和島市はこの宿泊施設への避難を支援する制度をはじめています。

白石 宇和島市内のこちらのホテルでは
災害時に避難する人を受け入れるため優先的に部屋を確保するようにしています。

補助の対象は土砂災害警戒区域などに住んでいる障がい者や妊婦など配慮が必要な人。
宿泊費の半額を補助することにしていて市内17のホテルや旅館が協力しています。

宇和島市HP

進む避難所対策 市町の対応は-

白石 しかしこういった場所がない人はやはり避難所に逃げなければなりません。
いま県内すべての市と町で避難所での3密を避ける対策が行われています

白石 きのう八幡浜市の避難所になる体育館では屋内用のテントが設置されていました。

■八幡浜市 危機管理・原子力対策室 山本基之防災係長
記者  :「テントの中がメッシュになっている」
山本さん:「実際暑くなってくればその体調によっては透かして風を取り入れることも可能です」

八幡浜市は西日本豪雨の教訓から、避難所でのプライバシーを守るために150張のテントを導入していました。
数に限りがあるもののこれを新型コロナの感染予防に活用することにしました。

■八幡浜市 危機管理・原子力対策室 山本基之防災係長
山本さん:「テントとテントの間を最低でも1メートル、取れるところでは2メートル距離を確保した上で3密を回避して、なるべく避難所生活を有意義に過ごしていただこうということで考えています」

また入り口では運営スタッフがフェイスシールドを装着、万全な体制を整えていて、体調不良の人はほかの避難者と接触しないよう別の空間に誘導するようにしています。

■八幡浜市 危機管理・原子力対策室 山本基之防災係長
山本さん:「こちらの避難所ですと(閉校のため)使っていない別の校舎がありますので、あちらの方に一時的に行っていただいてこちらの方から市の災害対策本部に連絡して保健師や保健センターの方で対応していただくことにしています」

白石 通常は人と人の距離を取って3密を回避するのですが、多くの自治体が間仕切りや簡易テントの活用を検討しています。
また八幡浜市と東温市は瞬間冷却材や氷などの導入を検討しているんです。

青木 瞬間冷却材?何に使うんですか?

白石 もしも感染者が避難所にいた場合、扇風機などを使うと床などに落ちているウイルスが飛沫するおそれがあるので状況に応じて瞬間冷却剤などで熱中症対策をしようというのです

青木 なるほど!それぞれが知恵を絞っているんですね

 

何より大切な 今、私たちにできること-

白石 様々な避難の方法がありますが
まずは私たちひとりひとりが、災害が起こる前に今のうちからしっかり準備することが大切です。

① 自分のいる場所にどのような危険があるのかハザードマップなどをみて知っておきましょう

② そのうえでどこに避難するのかを家族と事前に話し合っておきましょう。

③ 災害時の持ち出しグッズの中にマスクやアルコール消毒液など感染予防対策のものを入れておきましょう。

青木 災害が起こった時にあわてないための準備を今のうちにしておきたいですね

 


 

この情報は2020年5月28日現在のものです。